ルポ 改憲潮流

 朝日(新聞)の中馬清福・論説主幹(当時)も,その内面は複雑だったはずだ。彼は2003年に出版した『新聞は生き残れるか』(岩波新書)に,90年代後半以降の日本社会は,①「人権」に端を発した市民の反乱,②「表現の自由」絶対論の後退,③「平等」幻想の崩壊,④「権力」観の変貌--という4つの変化に直面しているとして,こんな嘆きを綴っている。

 〈同じ仲間だと思っていた読者が「報道の暴力は許さない」と言って,はっきりと背を向け出した。広がる一方の報道被害に原因があったことは明らかである。(中略)私自身,新聞は弱い市民に代わって権力と向き合ってきたと信じていたし,読者もそれゆえに支持してくれていると思っていた。そこにあったのは昔ながらの〈権力〉対〈新聞(背後に市民)〉の構図だった。しかし,人権意識の高まりにつれて分かったのは,読者は「新聞イコール市民」などとは全然考えていない,ということだった。次第に〈新聞〉対〈市民〉という構図があらわになり,市民が権力といっしょになって新聞を糾弾する〈権力(背後に市民)〉対〈新聞〉という空気さえ出てきた。新聞は双方から敵視されるようになったのである〉。

出版社岩波新書
発行年2006年

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