小説への序章

 E・M・フォースターは『小説の構造』のなかでストーリーとプロットを区別し、「王様がおかくれになり、そして王妃様がおかくれになった」と書けばストーリーだが、「王様がおかくれになり、そして悲しみのあまり王妃様がおかくれになられた」と書けばプロットになるという興味ある見解を述べている。フォースターにしたがえば、ストーリーとはある事柄が時間の順序に従って起ることであり、常に「次に何が起こるか」によって読者をひきつけている。これに反してプロットには理由が入りこんでくる。王妃様はただ時間的に王様のあとから死んだのではなく「悲しみのあまり」死んだのである。だからストーリーでは読者は「それから?」によってひきつけられるがプロットでは「なぜ?」によってひきつけられるというのである。

出版社中公文庫
発行年1979年

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