女と自由と愛

 自由と平等とは,よくならべてとなえられます。しかし何でも好きなころをするということと,人間はみんなおなじだということは,本来別のことです。それが自由平等というふうにつないでいうようになった理由をしらべていくと,自由の意味がわかると思うのです。

 自由と平等とがむすびつけられるのは,人間のなかに強いものと弱いものとがいるからです。強い人間が自分の力にものをいわせて好き勝手なことをすると,弱い人間は迷惑をします。もっとも迷惑だと思っても,強い人間の力があまり大きいと,弱い人間は文句がいえません。文句をいったら,もっといじめられるので,だまっています。

 強い人間が好き勝手なことをしたとき,こっちは迷惑をしますよと面とむかっていえるのは,ある程度の勇気と能力をもっている人間です。いまは周囲の事情で弱い人間の仲間になっていますが,事情がかわれば強い人間の仲間にはいる能力のある人間です。疎外された強者といってもいいでしょう。そういう人が弱い人間の代表になって,強い人間に弱い人間の気持を伝えます。

 あなただけ好きなことをしないでください,私たちにも好きなことをさせてください,おなじ人間なのですから,と弱い人間の側から強い人間にむかっていう場合に,自由の要求と平等の要求はかさなります。

出版社岩波新書
発行年1979年

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です