闇の中の系図

 与党は野党に言うだろう。たしかに企業から大金をもらっているが、お前たちだって労働者から資金を集めているじゃないかと。昔ならこれは闇の中でいう台詞だった。労働者っていうのはつまり名もない庶民だ。国民だ。そういう人々のために働くのが政治家だという建前があった。だから、お前たちだって労働者から金を集めているじゃないかという言い草はないはずなのだ。自分たちも一人一人から集めた金で動けばいい。そうだろう。ところがそれはしない。企業から集めたほうが楽だし、効率がいい。手っとり早く金を摑めるほうが勝つわけだし、だからこそずっと与党でいられたわけさ。いつも負けるほうは一人一人から会費をとっている。いつも勝つほうは一人一人に金をやっている。勝つのがあたり前だ。でもこれではいけない。

出版社角川文庫
発行年1979年

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です