即応する怒り、持続する怒り

武田砂鉄(ライター) 『反東京オリンピック宣言』(航思社)の編著者である小笠原博毅さんによる言葉で,「どうせやるなら派」という言葉があります。

 この「どうせやるなら派」という言葉は今の日本の空気を象徴していて,最初は疑問視しつつも,最終的には肯定する,という事態が様々な局面で生じている。

 オリンピックや基地問題だけでなく,原発再稼働,特定秘密保護法,共謀罪,憲法改正でも,最初はみんな反対をしていても,事業なりが進むにつれて反対派が目減りし,最後まで反対している人は「まだ,やっているの?」と鼻で笑われるようになる。鼻で笑う人の数を増やせば増やすほど,運営する側,主に政府は物事を動かしやすくなる。操作しやすい国民が出来上がりつつある。

星野智幸(小説家) ……既成事実に弱いですよね。……その傾向は強まる一方です。既成事実で押しきれば何とかなっちゃうだけではなくて,武田さんもおっしゃったように,最後まで反対し続けている人たちは非国民というか異端というか,まるで彼らが悪いことをしたかのような視線を受けるようになる。

武田 ……面倒でも「それは違う」と言い続けようと思いますね。

星野 ただ,しつこく,嫌がられながらも言い続けるというのも消耗しませんか。

武田 そういう役回りだ,と思っています。ひたすら言い続けるのは消耗しますけれど。

掲載誌「新潮」2018年4月号
発行年2018年3月

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